歯ぐきの腫れと早産の関係とは?妊娠中期からのケア法|佐賀さくら歯科親子歯科クリニック|佐賀県神埼市の歯医者

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歯ぐきの腫れと早産の関係とは?妊娠中期からのケア法

歯ぐきの腫れと早産の関係とは?妊娠中期からのケア法

妊娠16週、歯ぐきからの出血に気づいたときに


歯みがきのたびに血がにじむ、歯ぐきがぷっくりと腫れている——つわりが落ち着いた頃にこうした変化に気づく方は珍しくありません。歯ぐきの炎症と早産の関連は、炎症性物質の働きとして説明されています。 しくみを知れば、いま何をすればよいかが見えてきます。


この記事の要点まとめ


  • 妊娠中はホルモン変化で歯ぐきに炎症が起こりやすく、早産との関連が示唆されています。
  • 出血や腫れは歯みがき方法を見直し、症状が続く場合や強まる場合は歯科へ相談します。
  • 妊娠16〜27週ごろは受診しやすい時期とされ、健診や歯石除去などを検討できます。

歯ぐきの腫れと早産の関係のしくみを知る

歯ぐきの腫れと早産の関係のしくみを知る

女性ホルモンの増加が歯周病菌を増やす仕組み


妊娠すると、エストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンが急激に増えます。このホルモンは歯ぐきの毛細血管を広げ、組織をやわらかく変化させる働きを持ちます。さらに一部の歯周病菌はこれらのホルモンを栄養源として利用できるため、同じ量のプラーク(歯垢)でも炎症が起こりやすい状態になります13。妊娠中に生じるこうした歯肉の炎症は妊娠性歯肉炎と呼ばれ、歯ぐきの一部がこぶのように盛り上がる妊娠性エプーリスが見られることもあります。


炎症性物質が子宮収縮を促すとされる流れ


歯ぐきで炎症が続くと、サイトカインやプロスタグランジンといった炎症性物質がつくられます。プロスタグランジンは本来、出産が近づいた時期に子宮で分泌され、収縮を促す物質です。歯ぐきで生じた炎症性物質や細菌が血流に入り、子宮の環境に影響するのではないかという経路が指摘されています34。実際、歯周病と早産の関連を検討した系統的レビューでも、両者に関連がある可能性が報告されています4。


「歯ぐきが腫れたらすぐ早産」ではないという誤解


ここで押さえておきたいのは、腫れや出血がすぐ早産に直結するわけではない点です。妊娠中の歯周疾患は決して珍しいものではなく、複数の研究をまとめた報告では妊婦さんのなかで高い割合に歯ぐきの所見が見られると示されています5。早産は感染や母体の状態など複数の要因が絡む出来事であり、歯ぐきの炎症はそのうちのひとつの因子として捉えるのが妥当です。自分を責める必要はなく、今から炎症を落ち着かせる方向へ動くことに意味があります。


今の歯ぐきの状態別に見る対応の目安


出血や軽い腫れなど経過を見てよいサイン


歯ブラシを当てたときに少し血がにじむ、歯ぐきの縁が赤みを帯びている——この程度であれば、まずは毎日のケアを見直すところから始められます。汚れが残っている場所ほど出血しやすいので、出血した部分は「磨けていないサイン」と考えて、やわらかい毛先でゆっくり触れていきます。数日から1〜2週間ほどケアを整えると、赤みが落ち着いてくることもあります2。


急に強く腫れて痛む時の自宅でできる工夫


ぷっくりと腫れて触ると痛む場合は、刺激を減らすのが基本になります。ぬるま湯でのうがいで口の中の汚れを流し、頬の外側から冷たいタオルで軽く冷やすと楽に感じることがあります。妊娠中は市販の鎮痛剤やうがい薬を自己判断で使わず、産科の主治医または歯科に確認してから使うようにしてください。熱いお湯でのうがいや強い力でのブラッシングは、かえって腫れを刺激することがあります23。


受診を急いだ方がよい目安


次のような状態は、早めに歯科へ相談するのが安心です。


  • 腫れが数日以上引かない、または広がってきた
  • 押すと膿が出る、口の中に不快なにおいがある
  • 噛むとズンと響く痛みがある
  • 発熱や顔まわりの腫れをともなう

炎症が歯を支える骨まで及ぶ歯周炎へ進むと、対応に時間がかかることもあります3。妊娠中だから様子を見ようと我慢するより、状態を確認してもらったうえで判断する方が負担は少なくなります。


つわり明けの安定期から立て直す歯みがき習慣


つわりで磨けなかった時期からの負担が少ない再開法


つわりの時期に歯みがきが途切れてしまうのは、多くの方が経験することです。再開するときは、まず歯ブラシのサイズを小さめのヘッドに替えると、奥まで入れても吐き気が起こりにくくなります。においで気分が悪くなるなら、歯みがき剤をつけずに磨いて、あとで水でしっかりすすぐ方法でも汚れは落ちます。1日の回数を決めるより、「食べたら磨く」を軸にする方が続きやすいと考えられています。体調のよい時間帯を選び、下を向いた姿勢で磨くのもひとつの工夫です2。


デンタルフロスを取り入れるタイミングと使い方


歯ぐきの炎症は、歯と歯の間に残った汚れから始まることが多くあります。歯ブラシが落ち着いて使えるようになったら、フロスを1日1回、夜だけでも取り入れてみてください。腫れている時期は無理に押し込まず、ゆっくり入れて歯の面に沿わせて動かします。最初は出血することもありますが、汚れが減るにつれ落ち着いてくる場合が多いとされます23。持ち手のついたタイプなら、片手が空かない育児中でも扱いやすくなります。


歯科でのクリーニングが腫れの改善に役立つ理由


固まってしまった歯石は、家庭のケアでは取り除けません。歯科ではスケーリング(歯石除去)で汚れの土台を減らし、炎症の原因そのものを少なくしていきます。妊娠中の歯肉炎に対する歯科的な介入を検討した研究では、口腔内の状態の改善が報告されており、妊娠の経過への影響についても検討が進められています6。エアフローなどによるクリーニングは、予防のためのケアとして取り入れられることがあります。なお歯科のクリーニングは、検査や診断にもとづく場合は公的医療保険の対象となることが多く、予防目的で自由診療(公的医療保険が適用されない)として行う範囲もあります。


【神埼市】安定期の受診のご案内

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妊娠何週までに歯科治療を済ませておきたいか


一般に、体調が落ち着く妊娠16週〜27週ごろの安定期が、歯科での処置を受けやすい時期とされています。妊娠初期はつわりで長く口を開けるのがつらく、妊娠後期に入ると仰向けの姿勢が負担になりやすいためです。妊娠中の歯ぐきの所見は決してまれではないため5、安定期のうちに一度状態を確認し、必要なケアの見通しを立てておくと、臨月に慌てずに済みます。母子健康手帳の歯科の記録欄や、自治体が案内する妊婦歯科健診の機会も活用できます。


麻酔・レントゲン・薬の使用についてよく聞かれる疑問


局所麻酔は、歯科で使う量であれば妊娠中でも配慮のうえで使用されるのが一般的です。痛みを我慢し続ける方が、母体のストレスとしての負担になる面もあります。レントゲン撮影は撮影範囲が口元に限られ、防護エプロンを用いるため、腹部への影響は少ないと説明されています。お薬については、産科の主治医と情報を共有しながら判断する流れが基本です3。妊娠週数と体調を伝えたうえで、処置の範囲を相談して決めるのが安心につながります。


なお、予防目的のクリーニングなど自由診療で行う口腔ケアには、次のようなリスク・副作用があります。処置中から処置後にかけて、歯ぐきからの出血、歯ぐきの痛みや一時的な腫れ、冷たいものがしみる知覚過敏、歯の表面の一時的なざらつき、あごや口まわりの疲れが起こることがあります。まれに、歯ぐきが下がる(歯肉退縮)、詰め物やかぶせ物の縁が欠ける、器具が触れて唇や粘膜に小さな傷ができる、超音波の振動や水しぶきで気分が悪くなる、といったことも起こり得ます。妊娠中は仰向けの姿勢が続くことで血圧が下がり、気分不良(仰臥位低血圧症候群)につながる場合もあります。こうした内容の説明を受け、納得してから進めてください。


当院でお子さま連れでも通いやすい受診のご案内


お子さまを連れての来院は、予約時に「子ども連れ」と伝えておくだけで進み方が変わります。お子さまのお昼寝や機嫌のよい時間帯を選び、余裕のある枠を確保しておくと落ち着いて受けられます。日中の時間が取りにくい方は、事前に通院しやすい時間帯を歯科医院に相談しておくとよいでしょう。費用について触れておくと、検査、歯の全顎クリーニング(歯石除去や機械による清掃)は保険診療で1回あたり3,000~5,000円程度です。期間と回数の目安は、汚れの付き方にもよりますが、1〜2ヵ月のあいだに1〜3回に分けて行い、その後は3〜6ヵ月ごと(年2〜4回)のメインテナンスへ移る流れが一般的です。エアフローなど機械による着色除去を追加する場合は1回あたり2,000円程度が加わることがあります。


よくある質問


Q. 歯周病があると、どうして早産と関わるのですか?

A. 歯ぐきの炎症で生じるプロスタグランジンなどの炎症性物質が、血流を介して子宮の収縮に関わる可能性が指摘されています。ただし早産は複数の要因が重なって起こるもので、歯ぐきの状態だけで決まるわけではありません。


Q. 歯ぐきがぷっくり腫れています。歯肉炎以外の原因もありますか?

A. 歯の根の感染、親知らず周囲の炎症、妊娠性エプーリスなど、見た目が似ていても原因が異なることがあります。痛みが軽くても、腫れが1週間ほど続く、膿が出る、同じ場所を繰り返すといった場合は確認をおすすめします。


Q. むし歯を放っておくと早産に影響しますか?

A. むし歯そのものより、口の中の炎症が続く状態が問題になります。むし歯を放置すると歯ぐきや根の周囲に炎症が及ぶこともあるため、安定期のうちに状態を見ておくと安心です。


Q. つわりがひどい時期に強く腫れたら、安定期まで待つべきでしょうか?

A. 発熱や膿、強い痛みがある場合は時期を問わず相談してください。体勢や処置の範囲を調整しながら、その時点でできる対応を検討します。


Q. 妊婦歯科健診は受けた方がよいですか?

A. 自治体が案内する妊婦歯科健診や母子健康手帳の歯科記録欄は、口の中の状態を客観的に把握する機会になります。お住まいの自治体の案内をご確認ください。


参考文献


1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/

2. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(口腔・歯の健康)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/teeth

3. 日本臨床歯周病学会 https://www.perio.jp/

4. Montoya-Carralero JM, et al. Relationship between periodontal disease and preterm birth. A systematic review and meta-analysis. Medicina oral, patologia oral y cirugia bucal. 2024. PMID: 39396142 / DOI: 10.4317/medoral.26830

5. Chen P, Hong F, Yu X. Prevalence of periodontal disease in pregnancy: A systematic review and meta-analysis. Journal of Dentistry. 2022. PMID: 35998741 / DOI: 10.1016/j.jdent.2022.104253

6. Xu H, et al. Role of periodontal treatment in pregnancy gingivitis and adverse outcomes: a systematic review and meta-analysis. The Journal of Maternal-Fetal & Neonatal Medicine. 2025. PMID: 39721768 / DOI: 10.1080/14767058.2024.2416595


野中 智美

歯科医師


佐賀さくら歯科親子歯科クリニック

理事長

野中 智美

▶ 監修者プロフィール

経歴
日本歯科大学新潟生命歯学部 卒業
大学病院歯科口腔外科 勤務
福岡市、佐賀市内歯科医院 勤務
医療法人桜裕会「佐賀さくら歯科親子歯科クリニック」開院
資格・所属学会
日本歯科医師会 会員
佐賀県歯科医師会 会員
神埼市歯科医師会 会員
日本小児歯科学会 会員